脳神経内科

脳神経内科から患者さんへ

 脳神経内科という診療科をご存知でしょうか?あまり、馴染みのない科名かもしれません。内科ではあるものの、脳・脊髄・筋肉を主に診ている科で、当科の対象疾患の多くが国の定める難病に含まれます。パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、難しい名前の病気ばかりの印象ですが、もっと身近な症状でも、お力になれるかもしれません。繰り返す頭痛で、色々なことをあきらめてはいませんか?震えやしびれのせいで、字を書いたり、箸を使ったりが難しくはないですか?歩きが遅くなったり、転びやすくて外出が怖くなったりはしていませんか?あきらめるしかないと考えていたり、それを理由に、人と会ったり、外に出ることためらうようなことがあるようでしたら是非一度、当科にご相談ください。症状の原因を探り、適切な対応を選ぶことで生活の質を改善できる可能性があるのです。
 また、近年増加の一途をたどる認知症は、高齢化の進むわが国では大きな脅威です。残念ながら現時点では、認知症を治したり、進行を完全に止めることができるお薬は、まだこの世の中に存在しません。進行をなんとかゆっくりに抑えるのがやっとなのです。ですから、少しでも長く自分らしい時間を過ごすために、物忘れの治療は、症状が軽度の頃から早めに始めるのが望ましいのです。それに、物忘れの一部には、時機を逃さず適切な対応をすれば本来は治すことのできる“treatable dementia=治療可能な認知症”(実際は極軽度の意識障害)が紛れ込んでいるのです。万が一、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの診断だったとしても、ご本人やご家族の不安や負担を軽くできるよう努めたいと考えています。

杏雲堂病院の脳神経内科

 医師が1名だけの診療科です。しかし、脳神経内科専門医であると同時に、リハビリテーション専門医でもありますので、内科的な手法に加え、症状緩和につながる運動やストレッチなどの指導も織り交ぜて、両方の領域の知識や技術を診療に活かしたいと考えています。

医師紹介

長沼 朋佳(医長)

  • 日本内科学会認定医
  • 日本神経学会専門医、指導医
  • 日本老年医学会専門医、指導医
  • リハビリテーション認定臨床医
  • 日本リハビリテーション医学会専門医
  • 義肢装具等適合判定医

主な対象疾患

  1. 対象となる臓器:中枢神経(脳・脊髄)、末梢神経、筋肉。
  2.  対象となる症状:頭痛、神経痛(皮膚表面のピリピリやジンジンというしびれ感を含む)、感覚障害(感覚が鈍い、逆に鋭い等)、運動障害、物忘れ、振戦(震え)、歩行障害(ふらつき、すくみ)、意識消失、けいれん、嚥下障害(飲み込みにくさ)、構音障害(話しにくさ)等。
  3.  対象となる疾患:脳血管障害(脳梗塞等)、機能性頭痛(筋緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛等)、てんかん、不随意運動(勝手に体の一部が動いてしまう。眼瞼けいれんや顔面けいれんも含む。)、筋疾患(重症筋無力症、筋ジストロフィー、多発筋炎等)、中枢感染症(髄膜炎・脳炎等)、自己免疫性神経疾患(多発硬化症、視神経脊髄炎、自己免疫性脳炎等)、各種認知症、その他の変性疾患(パーキンソン病、脊髄小脳変性症等)。

診療体制と診療方針

外来

 週に1度(火曜日)に脳神経内科外来を新設いたしました。一般的な外来診療に比べ、お一人にかける時間が非常に長いのが特徴です。このため、待ち時間を極力少なくすべく、基本的には予約制をとっています。丁寧な問診・神経学的診察に加え、当院で可能な限りの検索・精査を行い、場合によっては近隣の医療機関と連携し、診断・治療を行います。

病棟

 急性期・亜急性期の脳血管疾患の診断・治療および、てんかんやパーキンソン病などの治療薬調整入院。また、神経難病のレスパイトケア入院などに対応致します。
 リハビリテーション科医長も兼任しておりますので、スムーズなリハビリテーション導入に加え、一人一人の症状やペースに合わせた、よりカスタマイズされたリハビリテーションが可能です。神経疾患にとって、そのようなリハビリテーションは、薬剤の治療と同じように、身体の機能の回復や維持、または廃用(動かない、使わないことによる筋力の低下・機能の低下)の予防にとても有効な手段です。

得意分野

①機能性頭痛※1 やその他の痛みのコントロール

 ※1機能性頭痛は、脳出血や脳腫瘍などの生命に関わる異常はないものの、慢性的に持続したり、繰り返したりして日常生活や仕事、スポーツなどの活動の妨げになるものです。片頭痛や群発頭痛のように、いくつもの薬剤から患者さん一人一人に合った治療薬を選択し、症状緩和に加え頻度の減少を目指すものや、筋緊張性頭痛のように生活習慣や、身体的な要素(体格・視力・嚙み合わせ等)等の是正によって抑えることのできるものなどが含まれます。頭痛を含め、疼痛の緩和や制御は、一人一人薬剤への反応が異なるため、【その人に合う薬を適切な量で】使用することが肝要です。患者さんと二人三脚で痛みを克服し、快適な生活、アクティブな活動を可能にすべく努力します。

②てんかん診療

 てんかん発作の制御だけでなく、就学や就労、妊娠や出産など、人生の場面に応じた柔軟な治療を行い、できうる限り、疾患による人生や活動の制限を最小限に留めるように心掛けます。

③各種疾患に対しての理学的なアプローチ※2

 ※2理学的アプローチは簡単なストレッチや体操、姿勢補正などを意味します。患者さんの様々な症状、特に慢性的なものは、薬剤のみで対応しようとすると、必要量が無駄に多くなってしまったり、なかなか内服が止められずに長期間の使用になったりして副作用出現の可能性が高くなり、腎臓や肝臓に大きな負担をかけ、時には不可逆な障害を生じることもあります。理学的アプローチを日常診察に併用することによって、薬剤の使用を適切にし、患者さん自身が症状とうまく付き合えるようにしたいと考えています。