外科治療、すなわち手術と言えば、痛くて辛そうなイメージがあるかと思います。確かに、身体に一時的なダメージを受けながら治療することは、良いとは言えないと思います。当科は、どうしても手術でしか治らない消化器外科領域疾患に対して、限りなく痛みや苦痛の少ない治療を心がけています。手術は、キズが小さくて術後の回復の早い腹腔鏡下手術を積極的に行っています。さらに、術後の痛みや辛さに対する痛み止め等の治療に関しては、術後疼痛管理チーム(院内の専門家が集まって形成されたチーム:麻酔科・薬剤科・看護部)にお願いして、必要最小限の辛さですむような対策を取っています。
当科では、主に腹部消化管(胃、十二指腸、小腸、結腸、直腸、肛門)腹部実質臓器(肝臓、胆のう、胆管、膵臓、脾臓)、鼠経ヘルニアおよび癒着性腸閉塞などを対象とした両悪性疾患に対して幅広く治療を行っています。特に、キズが小さく、術後の回復が早い腹腔鏡を用いた手術を得意としています。さらに、遠隔転移(肝臓、肺、腹膜、骨など)を有する進行消化器癌に対しても、消化器内科や腫瘍内科と連携して可能な限り集学的治療(手術と抗癌剤投与や放射線治療等を組み合わせた治療)を行っています。その際に、大腸癌など腸閉塞を起こして食べられなくなっているような状況を回避するための腹腔鏡下手術も行っています。このように、癌に対する治療のみならず、生活の質も向上するような治療を患者さん一人ひとりの状況に応じてきめ細かく行っています。気になる事がありましたら、まずは外来までお越し下さい。
お腹の中を炭酸ガスで膨らませながら、小さい創部から腹腔鏡という細長いカメラをお腹の中に入れて行う手術のことです。下の写真にもあるように、創部が小さくてすむので術後の回復が非常に早く、一般的な開腹手術と比較して創部の痛みが軽く、目立ちにくいことが一番の特長です。
■腹腔鏡下手術:トロカールという穴から細長い器具を入れて手術を行います。
腹腔鏡下手術は1980年に初めてドイツで行われました。最初は虫垂(いわゆる盲腸)を切除する手術が行われましたが、 その後、腹腔内のさまざまな臓器を切除する手術に応用されました。
現在では、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓 などを対象としたさまざまな疾患に対して腹腔鏡下手術が行われています。
当科では、胃、小腸、大腸、直腸、肝臓、胆嚢、膵臓、そけいヘルニアに対する腹腔鏡下手術を行っています。
【胃】早期・進行胃癌、胃粘膜下腫瘍、胃悪性リンパ腫、胃潰瘍、食道裂孔ヘルニア、その他
【小腸】腸閉塞、クローン病、小腸憩室症、小腸癌、小腸悪性リンパ腫、その他
【虫垂】急性・慢性虫垂炎、虫垂憩室炎、虫垂腫瘍、虫垂癌、その他
【結腸・直腸】早期・進行大腸癌、大腸悪性リンパ腫、腸閉塞、大腸憩室炎、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、その他
【肛門】内・外痔核、痔瘻、肛門周囲膿瘍、肛門管癌、肛門ポリープ、その他
【鼠経(そけい)部】鼠経ヘルニア、大腿ヘルニア、鼠径部腫瘤、その他
【胆嚢(たんのう)】胆嚢結石症、胆嚢ポリープ、胆嚢癌、その他
【胆管】胆管結石症、胆管癌、総胆管拡張症、その他
【肝臓】肝嚢胞、肝膿瘍、肝血管腫、原発性肝癌、転移性肝癌、良性肝腫瘍、その他
【膵臓】急性・慢性膵炎、膵石症、膵管胆管合流異常症、膵内分泌腫瘍、腫瘍性膵のう胞、膵管癌、その他
【腸閉塞】癒着性腸閉塞、麻痺性腸閉塞、腫瘍性腸閉塞、その他
消化器癌は、ある程度進行すると、癌が出来た場所から離れた臓器に転移することがあります。手術で取り切れる場合と、そうでない場合があります。そのようなときには、必要に応じて癌が出来た部位を手術で取り除き、その他の部位に関しては、抗がん剤や放射線治療を行う集学的治療を関係診療科と協力して積極的に治療しています。
腸閉塞を伴った大腸癌と肝臓への転移を認めた患者さんの治療例
■大腸癌肝臓転移のCT画像 黒いしこりが肝転移です。 大きいので、まずは抗癌剤治療を行いました。
■抗癌剤治療後の肝転移のCT画像 上の画像と比較してだいぶ小さくなったため、肝臓切除を予定しました。
■肝臓の右側を切除した後のCT画像 再発はありません。
以上のように、当科では手術のみではなく、さまざまな治療を組み合わせた集学的治療を行っています。
科名 | 時 間 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 (午前のみ) |
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消化器外科 | 午 前 |
仲 祐太朗 | 高木 諭隆 | 内 玲往那 | - | 川本 潤 【胆石症外来】 |
- |
午 後 |
- | 仲 祐太朗 | 川本 潤 | - | 内 玲往那 高木 諭隆 ストマ外来★ |
※赤字は女性医師
※★は予約のみ