腫瘍内科医はあらゆる場面で患者さん、ご家族と時間を共有するがん診療の伴走者です。
手術前・手術後の患者さん、転移再発の病気を患う患者さん、緩和ケアの患者さん、あらゆる場面に私たちが立ち会っています。
当院の母体の佐々木研究所は日本のがん研究に大きな役割を果たしてきた歴史があり、開設130年を超える当院はその伝統を継承しつつ時代に見合った先端医療を加えていくことで、がん患者さんが安心して療養できる雰囲気、環境を整えています。
がんに悩む患者さん、今後に不安をお持ちの患者さん、いつでもお気軽に杏雲堂病院腫瘍内科にお声掛けください。
(電話番号03-3292-2058外来予約センターからいつでもご予約頂けます。数日以内に受診して頂けます。)
がん診療が発展し、治療内容も複雑化する中、杏雲堂病院腫瘍内科は、当時、まだ日本では数少ない診療科として2009年5月に開設されました。
がんの病態、生物学的特性にあわせた治療を選択することで、がん患者さんの日常生活、社会生活を最大限に尊重することを重視しています。
治療を実施するにあたっては、患者さんのご要望や状況を十分に傾聴するとともに、治療計画の内容、目的、見通し、効果、副作用、費用などについて十分な説明を行います。
腫瘍内科での治療の中心は薬物療法です。抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬剤に加え、近年は免疫学的機序を用いた新規薬剤の登場など薬物療法も多彩となっています。
更にがん診療の全体の方針のマネージメントをしていくことも腫瘍内科の重要な役割です。
当科は原則として全がん種の患者さんの診療を行っています。
具体的には乳がん、婦人科がん(子宮がん、卵巣がんなど)、
泌尿器がん(前立腺がん、膀胱がん、腎がん、精巣がんなど)、
消化器がん(胃がん、食道がん、大腸がんなど)、肺がん、頭頚部がん、悪性リンパ腫などとなります。
特に乳がんや泌尿器がん等は、抗がん剤、内分泌療法に加え、
多くの分子標的薬や免疫的機序を利用した新規薬剤などの開発もめまぐるしく進み、
最新のエビデンスの理解や薬剤の使い分けがポイントとなる疾患ともいえます。
それらの疾患に対しても高い専門性を持ったスタッフが対応してまいります。
更に胚細胞腫瘍(精巣がん)や原発不明がん等の希少ながん種の患者さんの診療にも経験豊富な専門医が診療を行っており、
特に胚細胞腫瘍については他院からも多くのコンサルテーションを頂いています。
2009年に当科開設以来、当科では2020年度までの12年間で2,300名以上の近くの新規患者さんを受け入れております。腫瘍内科、がん診療に関わるスタッフは多くの患者さんの伴走者として一緒にがんと闘い続けています。
肺がん | 乳がん | 頭頸部 がん |
消化器 がん |
婦人科 がん |
泌尿器 がん |
血液 腫瘍 |
その他 | 合計 | |
2009 | 35 | 2 | 2 | 1 | 3 | 2 | 67 | 112 | |
2010 | 3 | 87 | 2 | 40 | 6 | 39 | 1 | 55 | 233 |
2011 | 2 | 26 | 11 | 45 | 3 | 16 | 4 | 30 | 137 |
2012 | 15 | 4 | 21 | 6 | 14 | 4 | 27 | 91 | |
2013 | 3 | 16 | 2 | 27 | 1 | 17 | 2 | 25 | 93 |
2014 | 10 | 16 | 5 | 43 | 5 | 9 | 4 | 23 | 115 |
2015 | 3 | 14 | 7 | 32 | 5 | 11 | 4 | 11 | 87 |
2016 | 5 | 46 | 7 | 30 | 7 | 6 | 4 | 20 | 125 |
2017 | 25 | 79 | 7 | 46 | 22 | 21 | 8 | 30 | 238 |
2018 | 43 | 61 | 14 | 102 | 26 | 26 | 18 | 51 | 341 |
2019 | 39 | 49 | 8 | 76 | 45 | 19 | 14 | 54 | 363 |
2020 | 56 | 68 | 18 | 127 | 26 | 26 | 20 | 32 | 373 |
合計 | 189 | 512 | 87 | 650 | 153 | 207 | 85 | 425 | 2308名 |
実際の手術を行う乳腺外科医、がん細胞の詳細な情報を実際に顕微鏡で観察し評価をした病理医、薬物療法を行う腫瘍内科医、遺伝情報を扱う臨床遺伝専門医で定期的にカンファレンスを実施しています。
カルテ上の情報のやり取りだけではなく、各専門分野のスタッフが最適な治療方針について議論を重ね、お一人おひとりの患者さんに提案していくステップを踏めるのが当院のような小回りの利く中規模病院の利点でもあります。
また特に勢いがあるといわれるトリプルネガティブ乳がんについて、根治性の向上、より確実な病勢のコントロールのための診療に力を注いでおります。
抗がん剤に伴う悪心嘔吐、食欲不振、脱毛、手足のしびれなど、さまざまな副作用を少しでも軽くするためにいろいろな工夫をしています。
乳がん等の手術前および手術後の化学療法も腫瘍内科が担当致しますが、がんの根治率を向上させるには一定の期間、決められた抗がん剤の投与量、スケジュールに従ってきっちりと実施しなくてはならず、継続するには上手な副作用対策が求められます。万一の時の電話フォローの体制も整えておりますので、安心して治療を続けて頂けます。
また、脱毛など、一時的には強く現れる副作用も、終了後、半年ぐらいには元のように回復しますので、かつら、帽子、スカーフを使用するなど、日常生活での工夫で乗り切ることもご指導いたします。
杏雲堂病院腫瘍内科の最大の特徴はチーム医療の総合力でがん診療に取り組むことです。
がん診療というとがんの制御、縮小などに目が奪われがちですが、診療の究極の目標は患者さんに安心した普段通りの生活を続けて頂くことにあります。がん治療に精通したがん薬物療法専門医、がん化学療法看護認定看護師、緩和ケア認定看護師をはじめとする看護部、薬剤科、そしてがん医療にも精通したリハビリ体制を整えているリハビリテーション部門、臨床検査科、栄養管理科が輪となりそれぞれの専門性を融合させ診療を進めることでその目標に最大限に近づいていけると考えています。
特にそれぞれの患者さんのお体の状態に合わせたリハビリテーションを提案し患者さんとご相談しながら無理なく併用していくことで名実ともに「実生活の質の向上」を重視するがん診療が行えるのは杏雲堂病院のチーム医療の賜物です。
■ 多職種合同でのカンファレンス風景
当科では緩和治療に専念されていく患者さんの診療を受け入れております。
がんの診療と聞くと手術や化学療法にとらわれがちですが、私達は患者さんが化学療法を終えられた後も、がんとどのように共存し生活を膨らませていけるかを大切に考えています。がんの諸症状を熟知した医療チームがお体やお気持ちの辛さを軽減し、安心して療養を続けて頂くための心温まる緩和医療を実践しています。
入院診療や往診の先生と連携した在宅診療などそれぞれの患者さんに合った療養形態を話し合いながら、緩和医療に専念される患者さん、ご家族とご一緒に歩んでいける診療体制、療養環境を整えておりますのでいつでもお気軽にご相談ください。
科名 | 時 間 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 (午前のみ) |
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腫瘍内科 | 午 前 |
佐々木 政興 | 河野 勤 | 河野 勤 尾野村 麻以 |
佐々木 政興 | 河野 勤 | (第1) 河野 勤 (第3) 渡辺 亨★ |
午 後 |
和泉 宏昌 【緩和ケア 外来】 |
河野 勤 | - | 佐々木 政興 | 和泉 宏昌 【緩和ケア 外来】 |
※赤字は女性医師
※★は予約のみ
■ 外来診察室の様子
全力で患者さんをサポートします!