腫瘍内科

杏雲堂病院腫瘍内科から患者さんへ

 腫瘍内科医はあらゆる場面で患者さん、ご家族と時間を共有するがん診療の伴走者です。手術前、手術後、転移や再発の状況、また緩和ケアが必要な場合など、患者さんの側に立ってお手伝いいたします。
 当院の母体の佐々木研究所は、がん研究において日本で重要な役割を果たしており、杏雲堂病院はその伝統を引き継ぎつつ、最新の医療技術を取り入れ、がん患者さんが安心して治療を受けられる環境を提供しています。不安や疑問を抱えた患者さんは、いつでもお気軽に杏雲堂病院腫瘍内科にご相談いただけます。
外来予約センターの電話番号(03-3292-2058)をご利用いただければ、数日以内の受診予約をお取りいたします。患者さんの健康と安心を最優先に考え、診療に取り組んでいます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

腫瘍内科について

 腫瘍内科はがん診療が進化し、治療が複雑化する中で、がん患者さんの個別性に合わせた最適な治療を提供するために2009年に開設されました。患者さんの日常生活や社会生活を最大限尊重しながら、がんの病態と生物学的特性に合った治療を選択し、実施しています。
腫瘍内科では、患者さんの要望や状況を細かく聴取し、治療計画について詳細な説明を行います。治療計画には治療の内容、目的、見通し、効果、副作用、費用などが含まれます。患者さんとのコミュニケーションを重視し、共に治療方針を決定していきます。
 薬物療法は腫瘍内科の治療の中心であり、抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬剤などが使用されます。さらに、免疫学に基づいた新しい薬剤の登場もあり、幅広い治療選択肢が提供されています。また、がん診療の全体的な方針をマネージメントし、患者さんにとって最良の治療体験を提供する役割も果たしています。
杏雲堂病院腫瘍内科は、がんに対する最新かつ個別化された治療を提供するために努力し、患者さんと共にがんに立ち向かっています。

杏雲堂病院腫瘍内科の特徴

①がん薬物療法について

対象疾患

 当科は幅広いがん種に対応し、患者さんの診療を行っています。以下は当科が対応している主ながん種です:
・乳がん
・婦人科がん(子宮がん、卵巣がんなど)
・泌尿器がん(前立腺がん、膀胱がん、腎がん、精巣がんなど)
・消化器がん(胃がん、食道がん、大腸がんなど)
・肺がん
頭頚部とうけいぶがん
・悪性リンパ腫
・希少ながん種(胚細胞腫瘍など)

 特に乳がんや泌尿器がんは治療の進化が著しく、抗がん剤や内分泌療法に加え、新規薬剤や分子標的薬、免疫療法などの最新治療が提供されています。当科ではこれらの治療法に精通した専門医が診療を行い、最新のエビデンスに基づいた治療を提供しています。
また、希少ながん種である胚細胞腫瘍についても経験豊富な専門医が診療し、他院からの相談も受けています。がんに関する幅広い知識と専門性を持つスタッフが、患者さんの治療とケアに取り組んでいます。

診療実績

 当科は2009年に開設されて以来、多くのがん患者さんを受け入れ、診療に従事しています。直近の5年間では、2000名弱の新規患者さんを診療しており、がん診療に携わるスタッフは患者さんと共にがんとの闘いを続けています。患者さん一人ひとりの状態やニーズに合わせた治療とサポートを提供し、最善の結果を追求しています。これからも患者さんの健康と幸福を支えるために全力で取り組んでまいります。

乳がん診療(乳腺外科・病理部・遺伝子診療科・放射線科との連携)

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乳腺外科医
乳腺外科医は実際の手術を行う専門家です。彼らは乳がんの手術や手術後の管理を担当し、患者さんの治療計画を立案します。

病理医
病理医はがん細胞の詳細な情報を提供する役割を果たします。彼らは顕微鏡で組織を観察し、がんのタイプや進行度を評価します。

腫瘍内科医
腫瘍内科医は薬物療法を担当し、化学療法や分子標的療法などの治療を提供します。彼らはがんの治療計画を調整し、患者さんの健康をサポートします。

臨床遺伝専門医
臨床遺伝専門医は遺伝情報に関する診療を行います。遺伝性乳がんのリスクを評価し、遺伝子検査の結果を解釈し、患者さんに遺伝カウンセリングを提供します。

 これらの専門家が定期的にカンファレンスを実施することにより、患者さんのケースについて包括的に議論し、最適な治療方針を決定します。カルテ上の情報だけでなく、各専門分野のスタッフが連携し、お一人おひとりの患者さんに合わせた最善の治療を提供するために努力しています。また、特にトリプルネガティブ乳がん※1に対しては、その難しさに取り組み、根治性の向上と病勢の確実なコントロールを追求しています。中規模病院の柔軟性と専門性を活かし、患者さんの健康と幸福に寄り添っています。
※1 トリプルネガティブ乳がん:エストロゲンおよびプロゲステロンのホルモンやヒト上皮成長因子の3つの受容体が発現しない乳がんで早期に転移する予後の悪い乳がんです。

万全な副作用対策

 抗がん剤治療はがんの根治率向上に不可欠な治療法であり、その効果を最大限に引き出すために副作用の管理が欠かせません。以下は、副作用対策についての詳細です。

悪心嘔吐の管理
抗がん剤による悪心嘔吐は多くの患者さんにとってよく経験する副作用です。適切な薬物療法や対処法により、この悪心嘔吐を軽減し、患者さんの快適さを提供します。

食欲不振への対処
抗がん剤による食欲不振は栄養不足を引き起こす可能性があります。栄養士の指導のもと、食事の工夫やサプリメントの使用により、患者さんの栄養状態を維持します。

脱毛の管理
抗がん剤治療による脱毛は精神的に負担がかかることがあります。かつら、帽子、スカーフなどを提供し、患者さんの負担軽減をサポートします。脱毛は通常一時的なものです。

手足のしびれへの対処
手足のしびれや知覚異常は、一部の抗がん剤による副作用です。この症状に対する適切な薬物療法やリハビリテーションにより、患者さんの生活の質を向上させます。

定期的なフォローアップ
抗がん剤治療中の患者さんへのフォローアップ体制を整えています。万一の症状や不安がある場合、電話での相談が可能であり、治療の安全性と効果を確保します。

 抗がん剤治療は効果的ながん治療法であり、副作用の適切な管理により、患者さんが安心して治療を受けられるようサポートされています。

②多職種の専門性が融合したチーム医療

 杏雲堂病院腫瘍内科の最大の特徴は、チーム医療の総合力を活かしてがん診療に取り組むことです。がん診療といえば、がんの制御や縮小などが注目されがちですが、診療の究極の目標は患者さんが安心して普段通りの生活を続けられることです。がん治療に精通したがん薬物療法専門医、がん化学療法看護認定看護師、緩和ケア認定看護師をはじめとする看護部、薬剤科、そしてがん医療にも精通したリハビリ体制を整えたリハビリテーション部門、臨床検査科、栄養管理科が一体となり、それぞれの専門性を融合させつつ、診療を進め、患者さんがその目標に最大限近づけるよう努めています。

特に、患者さんの個別のお体の状態に合わせたリハビリテーションを提案し、患者さんと協力しながら無理のない方法で実施していくことにより、実生活の質の向上を重視するがん診療が行えるのは、杏雲堂病院のチーム医療の強みです。

③緩和ケア

 当科では、緩和治療に専念する患者さんの診療を行っています。
がんの診療と聞くと、しばしば手術や化学療法に焦点が当てられがちですが、私たちは患者さんが化学療法を終えた後も、がんと共存しながら充実した生活を送ることを大切に考えています。がんに関連する様々な症状を詳しく理解した医療チームが、身体的、精神的な不快感を軽減し、患者さんが安心して療養を続けられるよう、心温まる緩和医療を提供しています。
 入院診療や往診の先生と連携し、それぞれの患者さんに最適な療養方法を話し合いながら、緩和医療に専念する患者さんとそのご家族が一緒に歩むための診療体制と療養環境を整えています。いつでもお気軽にご相談ください。

杏雲堂病院 緩和ケア病棟
当院の緩和ケア病棟についての詳しい説明はこちら

外来診療担当日割

科名

(午前のみ)
腫瘍内科
佐々木 政興 河野 勤 河野 勤
尾野村 麻以
佐々木 政興 河野 勤 (第1)
河野 勤

(第3)
渡辺 亨★

和泉 宏昌
【緩和ケア外来】
河野 勤 河野 勤
【緩和ケア外来】
佐々木 政興 和泉 宏昌
【緩和ケア外来】

赤字は女性医師
※★は予約のみ

医師紹介

河野 勤 こうの つとむ (腫瘍内科部長・化学療法部部長)

 
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医
  • 緩和ケア研修会修了
  • がんリハビリテーション研修会修了
  • 米国臨床腫瘍学会(ASCO)会員
  • NPO法人がん情報局理事

 

佐々木 政興 ささき まさおき (腫瘍内科科長・ブレストセンター長)

  • 東京医科歯科大学医学部臨床教授
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本がん治療認定機構認定医
  • 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医
  • 緩和ケア研修会修了
  • がんリハビリテーション研修会修了
  • CATSICLS(日本救急医学会)
  • ICD(infection control doctor)

和泉 宏昌 いずみ ひろあき (医長)

尾野村 麻以 おのむら まい (非常勤医員)

  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本乳癌学会認定医
  • 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医
  • がんリハビリテーション研修会終了

渡辺 亨 わたなべ とおる (非常勤医員)

  • 米国臨床腫瘍学会(ASCO)会員
  • 医療法人圭友会 浜松オンコロジーセンター院長
  • NPO法人がん情報局理事長