光線力学療法(PDT)について

 光線力学療法(Photo-dynamic therapy; PDT)とは、レーザー光に反応する薬剤を静脈注射した後に、レーザー光線を病変部に照射しがん細胞を壊すという治療法です。当院は、エキシマ・ダイ・レーザーを用いたPDTを、初期子宮頸癌の治療に用いた世界で最初の病院です。レーザー照射には(1)コルポ照射・(2)子宮頸管照射の2種類を用います。

 出血や痛みがなく麻酔は必要ありません。メスや高出力レーザーによる円錐切除術では早産のリスクが高まり、子宮頸管の狭窄、子宮口の癒着が起きることがありますが、PDTは低出力レーザーを使用し、光化学反応によりがん細胞を選択的に死滅させ、子宮頸部の形態と機能を最も良く温存でき、妊娠出産を希望する方にお勧めします。現在、PDT希望者は20、30代のシングルの女性が増えています。

 原則的に、子宮頸部高度異形成~子宮頸部初期癌が対象です。現在までに900例以上の症例を治療いたしましたが、治療後3ヶ月の効果判定で97%が組織学的に病変消失しております。

 強い光に当たると日光過敏症が起き、しみが残ることもあるので遮光管理が必要です。徐々に部屋を明るくするため入院生活を約2週間、退院後さらに2週間はできるだけ強い光を避けることが必要です。

PDTを受けられる方へ

対談シリーズ【がん等治療最前線】第6回 子宮頸部がんの光線力学的治療PDT

一般社団法人 日本医療学会のYouTubeです。
加藤治文先生と当院坂本優医師の対談で、PDTについて説明をしています。

(1)コルポ照射

 レーザー光に反応する薬を静脈注射した後、4~6時間後、(PDT専用)コルポスコープを用いて直径20mmの円形スポットとして子宮膣部の病変に対して数箇所、照射します。100J/cm2のエネルギー密度で照射します。

コルポ照射

(2)子宮頚管照射

 全周性側方照射型頚管プローブを子宮頚管に挿入し、10mmずつ引き抜きながら子宮頚管の病変に対して照射します。

子宮頚管照射

PDT外来のお知らせ

 PDT外来では、PDTについての詳しい説明を行うとともに、治療日程を決めていきます。

主な診療内容 ・子宮頸部病変に対するPDT

・第2世代PDT臨床試験(治験等)

※現在治験の新規募集はおこなっておりません

診療日時 毎週:木曜日 第2.4:金曜日  午前9時~12時(完全予約制)
担当医師 坂本 優(さかもと まさる)